住まいをたべるシロアリ 住まいをたべるシロアリ

シロアリってどんな生き物?

シロアリってなーに?

シロアリとは、木に含まれる「セルロース」を栄養とする生き物です。

本来、森の中の腐った木や倒れた木などを分解し土に返してくれる大事な役割を担っていますが、
我々が住む木造住宅にとってシロアリは恐ろしい「天敵」となってしまいます。
普段、目にする機会が少ないシロアリについて一緒に学んでいきましょう。

知識
その1

シロアリはクロアリの仲間ではない

シロアリは「アリ」という名がついていますが、実はアリの仲間ではありません。
アリはハチの仲間であるのに対し、シロアリはゴキブリの仲間になります。
見た目にも違いが表れています。

  • シロアリ(ヤマトシロアリ)

    シロアリ(ヤマトシロアリ)
    体形
    胸部はやや幅が狭いがずんどう
    触覚
    数珠状
    食性
    主に植物の繊維質(セルロース)
    活動エリア
    土の中や木材、蟻道の中など
  • クロアリ(地アリ)

    クロアリ(地アリ)
    体形
    腹部の付け根が細くくびれている
    触覚
    「く」の字型
    食性
    基本的には肉食
    (動物質から植物質まで多様)
    活動エリア
    そのまま歩き回る

知識
その2

シロアリの分布について

日本には現在22種のシロアリが生息していますが、建物を加害するシロアリは主にヤマトシロアリとイエシロアリです。
そのほか、最近“乾材シロアリ”の仲間であるアメリカカンザイシロアリの被害が増えてきています。
ヤマトシロアリは北海道北部を除く日本全土に、イエシロアリは神奈川県以西の海岸線に沿った温暖な地域と千葉県の一部、それに南西諸島、小笠原諸島に分布。
イエシロアリは千葉県以西の温暖な海岸線に沿った地域に散発的に発生しています。

  • シロアリの分布について
  • シロアリの分布について
  • シロアリの分布について

知識
その3

シロアリの活動期

【シロアリの繁殖期】

ヤマトシロアリ :4~5月

イエシロアリ :6~7月

普段私たちの目に見えないところで活動していないシロアリを目視できる機会の一つとして、シロアリの繁殖期があげられます。

シロアリは年に一度、新しい巣を求めて群れの一部が羽アリとなり、飛び立ちます。 (このことを群飛と呼びます。)
羽アリの羽は地面にたどり着くと簡単に落ちてしまうため、羽アリを直接目撃せずとも、大量に落とされた羽でシロアリの被害に気付くケースがあります。

知識
その4

シロアリの羽アリの見分け方

  • シロアリ(ヤマトシロアリ)

    シロアリ(ヤマトシロアリ)
    ハネ(ユウシチュウ)翅(有翅虫)
    前翅と後翅が
    ほとんど同じ形と大きさ
    シミャク翅脈
    細くて数が多い
    腹部
    くびれていない
    触角
    数珠状
  • クロアリ(地アリ)

    クロアリ(地アリ)
    ハネ(ユウシチュウ)翅(有翅虫)
    前翅の方が後翅より大きい
    シミャク翅脈
    太くて少ない
    食性
    くびれている
    触角
    「く」の字型に曲がっている
ここがポイント!

シロアリのすべてが羽アリとなって巣から飛び立つわけではありません。
ほんの一部(下図の青い部分)が羽アリとなって巣立ちますので、大部分が巣にとどまり、住宅を加害し続けます。

卵・幼虫

知識
その5

シロアリってどこからくるの?

シロアリは、羽アリとなって飛んできて住宅に住みつくよりも、
土の中で活動しているシロアリが、地中を移動して住宅の床下から侵入する確率の方がはるかに高いことがわかってます。
シロアリ被害の大多数が床下からの侵入だと言われています。

知識
その6

シロアリが好む環境

シロアリが好む環境

シロアリは、暖かく湿気が多い環境を好み、湿った土の中や木材の中で生活していることが多いため主に建物の下部を加害します。
シロアリが湿気の多い環境を好むのは、体表からの水分の蒸発を防ぐためです。
そのため建物に侵入する際、土や排出物などを唾液で固めた通路(蟻道)を作ることで、風や日光を遮り乾燥してしまうのを防ぎます。風呂場や台所など水を使う湿潤な場所の被害が多いのはそのためです。

また、シロアリは休眠(冬眠)しない生き物になりますので、1年中活動しています。
高気密・高断熱、暖房設備の整っている現在のお家の床下は、シロアリにとっても過ごしやすい場所と言えます。

シロアリが好む環境

知識
その7

シロアリを駆除せずにいるとどうなるの?

シロアリの被害があるにも関わらず対処せずにいた場合、シロアリはどんどん大切なお家を食い荒らし続けます。
1995年(平成7年)の阪神淡路大震災の際は、約25万棟もの住宅が全壊または半壊しました。そのうちおよそ8割の建物がシロアリ被害や腐朽被害などにより建物の強度が低下していたと言われています。

東難調査地域全体(築後30年未満)
東難調査地域全体(築後30年未満

日本建築学会近畿支部 1995年兵庫県南部地職 -木造建物の被害-より

東難調査地域全体(築後30年未満)

東難調査地域全体(築後30年未満)

逆に、シロアリや腐朽被害がなかった建物のほとんどが軽微な被害で済んでいます。

阪神淡路大震災のあとも、2011年3月「東日本大震災」、2016年4月「熊本地震」、2018年9月「北海道胆振東部地震」など度々大きな地震が起こっています。
日本は世界的に見ても地震が多い国なのです。

「シロアリ対策」は「地震対策」に繋がります。
私たちの大切な家を守るために、シロアリ対策は必要と言えます。